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マチネー/土曜の午後はキッスで始まるのkのレビュー・感想・評価

3.5
普通に楽しめる映画。

キューバ危機で世界的な絶望感の中で、映画が国民の唯一の娯楽として希望を与える、なんてありきたりなストーリーではなく、その逆。キューバ危機で世界的な恐怖が押し寄せているからこそ、ホラー映画が活きてくる、という理念のもと、とあるホラー映画監督が最新作を特殊効果を用いて上映しようとするお話。その特殊効果というのが、現在でいう4DXに似た効果。もはやその先駆け。この時代にそのような発想があったということは、既に映画そのものの娯楽性が失われつつあったということだろうか。

作中に登場するジョン・グッドマン演じる、ホラー映画監督のウールジー。冒頭で描かれた、葉巻を咥えた横顔のシルエットの姿はまさしくヒッチコック! 「あー、モチーフはヒッチコックで、そこを現代とうまくリンクさせてるんだな」と思ったのも束の間、監督のファンだと語る少年にサインをねだられ有頂天でいると、少年はさらっと「光栄です、ヒッチコックさん」と。なんだ、そこまでリアルと世界観を共有してるのか。一気にウールジーのキャラクターが小さく見えてくる。演出としては上出来の導入ではないか。
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