ヒロ

冷たい水のヒロのレビュー・感想・評価

冷たい水(1994年製作の映画)
4.7
手持ちでブレの荒い人物しか映らないタイトなフレームは紛れも無く彼彼女の生きづらさの表象であり、その後も続く何かを傷つけているつもりが回り回って自らが傷ついてしまってるという形を変えた自傷行為の羅列に完全なるアタリを確証する。胸苦しい教室で読まされる受動的な詩も、夕暮れ時の誰もいない林道で能動的に吐けばそれはまた違うものになる。燃え盛る炎を前にして今にも蒸発してしまいそうな冷たい水の心にはジャニスジョプリンもボブディランでさえも届かない。無軌道に飛び羽根をもがれて落下したその先で見上げた空は、青空には程遠い隙間ひとつない曇天模様の曇り空。そして冒頭のナチスを失脚させたパルチザンの件がラストへと直結する。これがこれこそが青春の敗北映画だと言わんばかりのお手本のような傑作。久々に痺れた。

2020-36
ヒロ

ヒロ