荒野の狼

砂の器の荒野の狼のレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.0
松本清張原作の社会派ミステリーの2時間を超える長編映画。身元不明の被害者が発見される殺人事件の現場から被害者は誰か、犯人は誰かについて捜査がはじまります。唯一の手がかりは東北弁の“カメダ”で、それが人を意味するのか土地を意味するのかもわからない。こうした状況で、一つの点と点を繋ぎ合わせるように辛抱強く捜査が進められていくのが前半の見所。

注意しなくてはならないのは、市販のDVDのボーナス映像の映画の予告編にはクライマックスの映像が犯人の名前とともに入っています。また、一部のDVDのジャケット・アマゾンの商品説明・読者レビューにも犯人と被害者の名前が書かれてありますので注意が必要です。

ラストの部分は小説では2行しか描かれなかった部分を膨らませて、原作者をして“映画でしかできない”と語らしめた人間ドラマになりますが、殺された被害者すらわからないという事件の異様性が犯罪の背景として重要ですので、こうした情報は耳にいれずに鑑賞するのが適当でしょう。

なお、ハンセン病が物語のキーワードになっておりますので、この病気の基礎知識はあったほうが理解の助けにはなるでしょう。また、残酷シーンは少なく、島田陽子の短いヌードなどもありますが、内容の理解を考えると小学校高学年からの鑑賞が適当です。
荒野の狼

荒野の狼