ねじ

砂の器のねじのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.9
警視庁の人達と和賀は、交流として交わることはない関係で、分裂されている宿命なんだけど、警視庁の人が和賀の人生を追い、想像の中で経験をすり抜けることで、やがて和賀の音楽と交わり出すのがとても美しく、悲しい(その内容だけに)。その様子が音楽としても、映像としても描かれていて、すごい映画だと思った。
和賀は父親の不在に苦しんでいたのだと思う。どうして自分は苦しまなければならないのか。答えなどなく得られるはずもないと分かっているのに、父親がいない子供はどうすればいいんだ、と恵美子に聞いてしまう。その聞いてしまうこころ。とても悲しい。返される答えも悲しい。母親のわたしがいるから、と言われても和賀には母親がいない。答えはやっぱりなかったのだ。答えを求めようとして余計に自分を苦しめてしまうことはよくある。
療養所での苦しみは想像を超える苦しみだろう。そんな中大きくなった子どもを見つけて、言葉にできないほどの心があふれ出していた、それがわたしに伝わるから、わたしもとても泣いてしまった。
いつかもう一度見返したい。そしてわたしはもっとハンセン病について知りたい。
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