りんとん

砂の器のりんとんのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
3.6
母親に勧められて、鑑賞。
リメイクはされているけども、観るならやっぱりこれでしょう!と。
前半ドキドキ、後半おおおー。

顔面を潰された状態で殺されている男の遺体が発見され、身元不明の被害者と加害者の正体を知るために動く刑事が主人公。
丹波哲郎さん。
季節は夏なのだが、こんな冬にみても夏を感じられるね。平成生まれなんだけれど、昭和の空気をなんとなーく感じられた。笑
電車とか、田舎とか、スナックとか…

個人的には、和賀英良役の加藤剛さんが好み。笑
三木賢一役の緒形拳さんは間違いなくカッコいい。
そしてそして…本浦千代吉役の加藤嘉さん…この演技には声が出ないというか…
不治の病にかかり、健常者としては生きていけない人間をそのまま表現している。
眼がすごく特徴的だよね…?
恐怖を感じてしまうほど、鬼気迫る空気を感じました。

前半は、刑事が手がかりを頼りに東へ西へ奔走して捜査をしていく。
そこは次々に繋がりがわかっていくことで、ドキドキしていた。
布切れがサラサラーっと飛んでいくところ、あれ真似した人どれくらいいるのかな。


後半から一気に話が進むので、少しあっけなさを感じたかな…。
英良の回想シーンがクライマックスなのだが、他のレビューでは長い、と言われているけど私はそう思わなかった。
観直しても、多分泣ける。
この回想をつくった監督、製作者はすごいな…。
たった1人の父親、子ども。自分が病気になってしまって、子の将来まで考えてあげられなかったのは愚かだと思うが、手離したくない、離れたくないという気持ちが痛いほど伝わる。
回想始まったあたりから泣かないぞー!って思っていたんだけれど、泣いちゃったぜ…
飯盒でご飯を炊いて、笑って抱き合って…このシーンと、駅で抱き合うシーン。

どうして知られたくないからという理由で三木さんを殺したのか…お父さんに会いにいかなかったのか…刑事さんの言葉を聞いても納得できなかった。
それは、原作を読んだ方がわかるのかな?読んだことないので、読んでみようかな。

『宿命』それは生まれてきたことと、生きているということ。
宿命は自分の意思では選べない…英良にとってはハンセン病の父親のもとに生まれ、乞食として生きることだった。
選べる、変えられるのは生き方…それが英良にとって音楽家という道…
変えることができない宿命を、知られたくなかったのかな…
宿命から目を背けていることと、お父さんと向き合えない罪悪感を、この曲であらわしているようにも感じられた。
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