ピンクマン

砂の器のピンクマンのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.4
「善意」の人の「良識」がいかに残酷にかけがえの無い親子の絆を切り裂くかということを暴いた映画。テーマである「宿命」はハンセン病そのものではなく、むしろ苦境にある親子の絆の「宿命的強さ」を当時の「良識」がそれを残酷に切り裂く様を描くことで却って浮かび上がらせたものだ。最後に元巡査が「縄で縛ってでも会わせる」と言うが、安易にその言葉を口にすることに激しい怒りを感じる。歳月が取り戻せるだろうか?父といた時の自分に戻れるだろうか?切り離された時点で全ての家族、人間に対する信頼を失ってしまったのだから。この主人公の場合、音楽だけが父と共にいた子供の自分に戻る唯一の手段だったのだろう。
日本映画史に残る名作中の名作。
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