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砂の器のmihoのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.5
当たり前だけど、当時は携帯もスマホもないし、インターネットもないし、そんななか、丹波哲郎と森田健作が文字通り靴の底をすり減らす地道な捜査をしてるのよね。

「カメダ」という、人の名前なのか地名なのかすらわからないワードを頼りに、砂の中から金を探し出すような作業をしている。

前半はもう、2人の刑事の執念のストーリー。

森田健作が見つけ出した被害者の血液がついた衣服の破片。この血液検査の際、しかもO型かどうか大雑把な確認をするのに10時間もかかるし、鑑定室でスパスパ煙草吸ってるし。DNA検査とかじゃないんだよ。4分の1の確率的な証明なんだよね。それを思うと、当時の冤罪率ってどうなんだろうってゾッとする。CSIチームが見たら腰抜かすぞ(違)

加藤剛の端正な顔立ちは、「和賀英良」という音楽家と、数奇な運命によく似合う。緒形拳演じる三木さんは、正義感の強さと善良さが最後の最後で裏目に出た。

そして何より、親子の旅が悲しい。「宿命」という曲の抑揚ともに心を揺さぶる。
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