こいももか

砂の器のこいももかのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.1
何度も映画やドラマ化されていますが、この作品が原点、秀逸と聞いて見ました。

現代版だと、この初回と内容が変わっている。センシティブな部分が。
親子が妻に離縁され、故郷をあとにしなければいけなかった理由は、らい病だったのですね。70年代、らい病はここまで理解されずねじ曲がった社会だったのかと悲しくなる。
入村を知った警官が、患者を追放していた過去があったなんて。追い出したって他のところ行っても同じことなのに。たらいまわし。
そんな中で我がことのように親子を敬い大事にしてくれた緒形拳演じる三木夫妻に涙が出る。

それなのに、実父に会わせてあげようとわざわざ訪ねてきた三木を、追い返し殺さなければいけなかった和賀英良の心が計り知れない。ここまで取り返せないことをして今の立場まで上り詰めた和賀のこれまでの苦労がいかほどかと、その「宿命」から逃れられなかった親子をみると切なかった。

いきなり紙吹雪を必死に捜査するところ、なぜ大阪に捜査に行ったかはよくわからなかったが、
かめだ、の言葉から東北弁に目をつけ、出雲弁につながるところ、あれよあれよと捜査が進む様子やラストシーンの音楽に乗せてピアノ演奏とともにめぐる過去の映像は凄かった。目が離せませんでした。

各地のご当地ならではのロケも厳しい冬の描き方もすごかった。

本で読みたくなりました。