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インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

考古学者インディ・ジョーンズは、危険な相手との取引に失敗し、その末にインドの山奥に降り立つ。彼はそこで出会った村人達に、奪われた彫像と攫われた子供達を救って欲しいと懇願され、ある宮殿へ乗り込む。そこは、シヴァの秘宝を悪用した邪教徒の巣窟となっていて、インディはその秘宝と子供達を守る為に奮戦する…。

インディジョーンズシリーズ第2弾。
展開の速さとアクションの多さで前作よりも娯楽に特化した仕上がりになっている。

映画冒頭、上海ギャングとの大立ち回りのあと、瞬く間にインドに行き着のだが、そこで3人のバラバラの個性が際立つ。
ワイルドな冒険家に、文句の多い都会育ちの女、小賢しい東洋人の子どもというギャップが大きいパッケージが笑いを生む。

飛行機が墜落し、流れ着いたインドの村では、天から来た神の使いだと救世主扱い。
村から奪われた聖なる秘宝と子供たちを奪い返して欲しいと懇願され、3人はゾウに乗って悪の宮殿に向かう。
本作の冒険は偶然の成り行きで展開する。

ここから始まるインドでのトラウマ体験がすごい。
たどり着いた宮殿で出される料理は、カブトムシの丸焼き、 山羊の目玉のスープ、サルの脳みそのシャーベット。
そこから秘密の洞窟に入れば数千匹の昆虫に囲まれ、邪教の儀式を見物すれば、生贄の人間から心臓を取り出しつつ、肉体をマグマの中に放り入れる。
現在ならインドから「全くの誤解だ、差別的だ」と訴えられてもおかしくないくらいのグロテスクな表現の連続なのだが、お化け屋敷感覚が楽しい。

邪教の教祖につかまり、一旦は洗脳されるインディが正気を取り戻すところからの反撃がたまらない。
高揚感の高いテーマ曲が流れる中で、敵を倒し、子供たちを解放し、トロッコに乗ってジェットコースターばりの追跡チェイスは興奮する。

最後は吊り橋にぶら下がり、絶体絶命になったインディが呪文を唱えると秘宝がいきなり燃え出し、その熱さで橋から手を離した邪教の教祖がワニのいる川に転落。
村の秘宝も子どもも取り戻し、メデタシ、メデタシである。
前作の聖櫃の亡霊と同様、秘宝が燃えるというラストにおけるオカルトには都合の良さを感じるが、勧善懲悪が完成した瞬間はやはりスカッとする。

伝説の秘宝は、善良な人たちが待つ村に戻っていき、本当に救世主となったインディは観客にとってヒーローとなった。
レイダース(侵入者)というタイトルがなくなったのは、ヒーロー映画の余韻のせいだろう。

娯楽映画としての完成度は、前作よりも高い。
冒頭の上海での取り引きの理由や、邪教復活の目的など、本来ならば説明が必要なところを、あえて飛ばしているのが唯一の不満だが、観ている側にごちゃごちゃ考えるスキを与えないスピルバーグ監督の演出の巧妙さはやはり見事としか言いようがない。

何よりも人物の設定が良い。
ヒロインは007シリーズのようにお色気だけの担当ではなく、冒険に参加して男のロマンに対して愚痴を言う女性の代弁者だ。
東洋人の子役ショーティが加入することで子どもの客層をも狙った感がある。
冒険だけなら必要ないキャラクターだが、ピンチを潜り向けていく3人が擬似家族のように見えてくる。

老若男女、万人が楽しめる娯楽作品の見本である。
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