ロンドンで行われたザ・ローリング・ストーンズのレコーディング風景が収められています。
ブライアン・ジョーンズが在籍していた時期の彼等の様子はファンとしては興味津々の映像です。
しかし何でしょうか?この空気の抜けたような感じは。
ストーンズ側から「俺達の邪魔しないなら撮っていいよ」と言われたのではないか?と邪推してしまうような彼等の周りを距離をとって遠巻きにユックリと移動して行くだけのカメラ。
こんなんじゃこっちが知りたい事が解らないじゃないですか。
ハル・アシュビーやマーティン・スコセッシの作品からはストーンズ愛がヒシヒシと伝わって来ますが、何でしょうねこのゴダールのは。
だらだらとしたカメラワークと集音マイクの位置(メンバーの話し言葉はほとんどミックの物しか聞こえて来ない)で構成された画面だけで作品を一本作るには流石に無理があると判断したのか、ゴダールはストーンズとは関係無い映像を作品内にブツブツと入れて来てレコーディング風景を寸断しています。
ストーンズは単に素材に使われてしまいましたが、とはいっても伝わってくる貴重な情報はあって、ブライアンはこの時期完全に影が薄くなっていて消えてしまいそうな存在であった事は解りました。