このレビューはネタバレを含みます
2017年100本目はこの作品にした。
9.11の話なので、PTSDの人は控えた方がいい。
身近に犠牲者がいた訳じゃない私でも、当時を思い出して辛かった。
途中、何度も切なくなった。
留守電を聞いていないと嘘をついて父親の最後の瞬間を一人で抱え込んたり、一人でブラックさんを探そうとする直向きさ。
母親が何もかも全て知っていてオスカーを見守っていたこと。
自らも夫を失って辛いのに、オスカーが『ブラックさん』を探す事で父親の死を受け入れられるように、電話をしたり先回りをして会ったり。
はかりしれないオスカーへの愛情の深さに胸が苦しくなった。
母親の話を聞いたオスカーが『大勢の人が大切な何かを失ってた』と言ったのは、沢山のブラックさんから話を聞いて悲しみを共有したから。
母親と父親の思い出話ができたのは、母親の愛情を知ってようやく父親の死を受け入れられたから。
最後の、オスカーからブラックさんたちへの手紙で泣きそうになった。
時間だけで解決出来ない苦しみや喪失感は、誰かと共有するしか癒す方法はないんだと思う。
ふと懐かしんで思い出話をするのも、寂しさを紛らわせる為だったりするし。
オスカー役のトーマス君はこれが初演技だって特典映像で言ってたけど、初演技でこのレベルって。すごい。
で、この作品のタイトルである、
肝心な『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』ものは何だったのか。
はっきりとは言えないけど、私は『自分(オスカー自身)の心情』って事なのかなって思った。
最初、何もわからない状態で観始めた時、オスカーが一方的に自分の考えや心情を相手に伝える際うるさいなと感じていたんだけど、彼はアスペルガー症候群という設定らしい。
相手に伝えないと気が済まない、伝えずにはいられない自分の中に渦巻いている思い=うるさい
その思い=自分の中にあるもの=近い
自分の思いや考えた事を全て詰め込んだあのノートを父親に捧げる、という事だったのかな、と。
バカだから正解が分からないので、色々な人の感想を読んでみたい。
2017年:100本目