TakuoAoyama

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ピクニックシネマにて。

原作は世界的なベストセラーを記録したジョナサン・サフラン・フォアの同名小説。
最愛の父親を9.11で失った少年の喪失と再生の物語。

主人公オスカー・シェル役を演じたトーマス・ホーン君の演技が凄い。
なんと本作がハリウッドデビュー。演技経験ゼロの13歳の少年。ある日、人気クイズ番組「Jeopardy!」に出場し優勝したのが、プロデューサーの目に止まり出演をオファーしたという。両親共に医者の優秀家系で、英語、スペイン語、クロアチア語、北京語の4か国語を話すとか。
アスペルガー症候群の兆候があり、並外れた知能と洞察力を持ちながら、繊細だけど大胆で、理解不能な感覚と理解したいという欲求を持ち合わせるオスカー。
監督やスタッフが用意した演技指導の期間はたった2ヶ月。この2ヶ月間のトレーニングで難しいオスカー役を見事に演じきって見せた彼の能力の高さが伺える。今はどんな俳優なのか調べたが、勉強に勤しみ俳優業はやってないそう。

脇を固めるのはトム・ハンクス、サンドラ・ブロック、マックス・フォン・シドーとこれまた豪華キャスト。サンドラ・ブロックやっぱり好きだなぁ。

ど直球過ぎるオスカーの言動に冷や冷やしつつも助けになりたいという思いから振り回される周囲。結局鍵は彼の期待していたものではなかったけどそれでも持ち主が見つかってよかったと思う。成し遂げたという達成感があるからこその最後のブランコのシーンの父のメッセージが活きる。

色んな映画を観てよく思うのは母親と父親の子供に対するアプローチの違い。良くも悪くも子供に寄り添えるのはいつだって母親だと思うので、感覚的にはこの映画の父と母は世の中の父親像と母親像とは逆転してるような気がした。
それはオスカーの特異性がそうさせてるのだろうか。
アスペルガー症候群のことを少しだけ調べたら、接し方は色々あるようだが、予測しやすい環境作り、ルールや指示を明確に、ポジティブに、拘りや関心事は矯正せずに活かす等々が大事なよう。なるほど父の創意工夫を凝らしたオスカーへの教育に頷ける。

しかしそんな父への愛が強過ぎて、後半まで母親が不憫過ぎてならない。自分の子供にママが死ねばよかったなんて言われて耐えられるはずがない。
でもちゃんと最後は母親なりのアプローチでオスカーと分かち合えることができてよかった。

あなたを危険な目に合わすはずがないでしょって。

号泣。
TakuoAoyama

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