マーくんパパ

千利休 本覺坊遺文のマーくんパパのレビュー・感想・評価

千利休 本覺坊遺文(1989年製作の映画)
3.8
利休モノ3本(利休、利休にたずねよ、本作)のうち観そびれていた本作をBS で放映してくれた、有り難い。愛弟子本覺坊が利休死後27 年を経て山上宗二、古田織部、利休3人の自刃の真相を死に遅れた織田有楽斎に解き明かす。戦乱下での茶の湯の生きる道を権力者に迎合しない茶人として貫き通す生き様を明かしていく。女人の登場しない男だけの閉塞とした茶室、侘び寂び典雅権力の渦巻く唯一無二の小宇宙が緊張感に富んだ様式美と共に映し出される。絶対権力者に庇護された権力者、美の探求者でもあり孤高の人と振れ幅の大きい利休像を三船敏郎(本作)、三國連太郎、市川海老蔵らが演じてきたが誰もピタリとハマっている感じがしないのはそれだけ掴みどころのない人物だったということか。吹き荒れる桜、冥土との結界線河原周辺や本覺坊が暮らす鄙びた庵の叙景が心象を補ってくれる。