甘味

この空の花 長岡花火物語の甘味のレビュー・感想・評価

この空の花 長岡花火物語(2012年製作の映画)
4.6
絶賛邦画祭中の甘味ですこんばんは。今回はずっと観たかった大林宣彦監督のセミドキュメンタリームービー。
いやー、こりゃとんでもねぇわ。なんじゃこりゃあぁぁ!!って叫びたくなるぐらい変な映画。前々から変態だとは思ってたけどまさかここまでとは…(敬意を込めて)
70過ぎてとことんやりたい放題やった大林監督超カッコいい。想像以上に挑戦し、攻めまくってた。これぞ魂の怪作。長岡の花火みたいに芸術がドーーーンと爆発してた!!スンバラシイ!!

まずオープニングのテロップで「ん?何なに?」ってなって、本編始まって数分で「あっこれはまともじゃねぇな」ってなりながらもその奇妙な空気にどんどん惹き込まれて釘付けになっていたら、それはもう大林ワンダーランドに迷い込んでしまった証拠。実際私もどっぷり入り浸ってしまい、今も迷子になってなかなか抜け出せなくなってる状態。

長岡の歴史。戦争と災害。そして花火。目ん玉ひん剥く程の情報量が、登場人物達による怒濤の台詞とその都度表示される字幕で流れるように観る者の脳みそに収まっていく。
この映画がヘンテコカオスなくせに全く難解に感じないのは、天才的な編集に加えあえて役者に台詞回しを棒読みさせた事なんじゃないかと。
この作品にとってキャラクターはさほど重要ではなく、その口から語られる言葉に重きを置いている。あくまでキャラクターは実際監督がたくさんの長岡の人達と出会い、その人達から聞いた生の声を伝える語り部なのだ。
そう、冒頭のテロップ通りこれは『長岡映画』。長岡で生きている人達こそが、この映画の真の主役。
不思議と心地良くスルスルと耳に入ってくる棒読み台詞がワンダーランドの世界観を確固たるものにしているのがよく分かる。

しかしこんな説教臭い題材でここまで作家性が大爆発した作品初めて観たわ。そしてこんな訳の分からない感動で涙したのも初めて。
本作はゲルニカをイメージした随筆映画だと監督が仰ってるのを後で聞いて物凄く腑に落ちた。まさに魂が込められた抽象絵画に感銘を受けて泣く感覚。

改めて映画って凄いなと思った。娘がもうちょっと大きくなったら一緒に観るリスト入り決定。DVD欲しい!