品川巻

永遠の人の品川巻のレビュー・感想・評価

永遠の人(1961年製作の映画)
4.4
あまりの高評価にずっと気になっていた作品。凄まじい愛憎(特に憎悪)だった...全ては平兵衛が悪いんだけど、あんな復讐のされ方されたら立ち直れない。

平兵衛が減らず口を叩くのも、他の女性に手を出すのも、全てはさだ子からの寵愛を欲しているから。
その一方、一生をかけて徹底的に怨み続けるさだ子。彼女の果てしない怨みは、罪のない実子にも及ぶ。

不倫を見つけた時に、「うちの旦那と何してるの」じゃなくて、「隆さんの奥さんでしょ」って咄嗟に出てきたところに旦那への好意のなさが滲み出てるよ。。旦那の不倫に1ミリも傷ついてないじゃん。。

ただ、元恋人の隆が大切な人なのに違いはないけど、彼の現妻に「私が忘れられないのは、あなたのご主人じゃなくて私が生きてきた昔です」というのは決して強がりではなく、
"襲ってきた男との結婚"という地獄から連れ出してくれなかった隆への本心だとも思う。

五章で「ひとりぼっちだ」と告白する平兵衛の侘びしさ、さだ子の一生の懇願、そして平兵衛の最後の選択には終始引き込まれる。
全編流れるフラメンコギターの扇情的な音も、各人の怨嗟を表すのにぴったりだった。

息子が笑顔を絶やさずに母に向けた恨み節が、恐ろしくて忘れられない。
品川巻

品川巻