永遠の人の作品情報・感想・評価

「永遠の人」に投稿された感想・評価

なんかタイトルいい感じだし、時間も短めだしって思って軽い気持ちで観てみたんだけど、思った以上にやられた…。最高すぎかよ。
序盤中盤憎しみで溢れてて、正直観てるのつらいし、夫マジでむかつくんだけど、その分最後の展開でグッとくる。長い間続いてきた憎しみにやっと希望が見えて、少し泣きそうになりました。
あとすごい重い話でびっくりした。木下恵介はなんとなくコメディ系を撮るイメージのある監督だったから、作風の幅が広すぎるだろって思った。
映像きれいすぎない?「カルメン故郷に帰る」の時も思ったけど、木下恵介は人の列とか風景とか、横に広がってる映像がきれいで、それがシネスコになることで最大限に生かされてたと思う。汽車が走ってるシーンとかすごい好きだったなあ。
木下惠介の「不幸な女」一代記ものだが。セリフが説明的すぎて、くささの極み。
全編、フラメンゴギターの音楽の連続も辛いところ。シャンソン歌手の宇井あきらの、妙な歌声も厳しい。
これはすごい。
高峰秀子は「乱れる」もいいが、この「永遠の人」もいい。
素晴らしい「女優」だ。
ちろる

ちろるの感想・評価

4.6
木下恵介監督の名作ですが、かなり重いと聞いていてなかなか観る気持ちにならなかったのだけど、たしかに重いがそれは暗いものではなくとにかく展開が激しいので、目が離せないし、とんでもなく面白い。
地主の息子に無理やり手篭めにされた小作人の娘さだ子を演じた高峰秀子が、たった一人で「悲しみ」「絶望」「憎悪」「怒り」「後悔」といった人間の負の感情をすべて背負いこんで、魂の演技をしていた。

大平洋戦争の末期、阿蘇山の麓の閉鎖的な村で起きた小さな事件によって出来た傷がみるみる膿んで、炎症はどんどん大きくなり取り返しもつかない悲劇の連鎖を呼ぶ。
これをただ単純に嫉妬心と独占欲によって人の道に外れた平兵衛だけの罪ではなくて、多分ひとりひとりが全員小さな罪を背負って罰を受けることになる。
悲劇的なこの物語を彩る哀愁漂うフラメンコの音楽に始めは驚いたが、観ている側のテンションを盛り上げていたので最終的にはこれらがこの作品にとって重要だったのだと気が付いた。
高峰秀子の名演、佐田啓二の美男子ぶり、仲代達矢の鬼畜さどれもこれもがうまくハモって四半世紀に渡り阿蘇山のマグマのように噴火しそうでなかなかしない憎しみのクロニクルを描いた映像はとにかく圧巻。
阿蘇を望む田舎の部落が舞台、各章で構成されその章ごとに戦前から戦後まで時間軸を移しながら綴られる物語

小作人の娘高峰秀子は佐田啓二とお互い想いあっている仲なんですが、佐田が兵役で留守の間に部落の村長の若旦那仲代達矢が横恋慕、手篭めにして無理矢理嫁にしちゃう
デコちゃんは身を投げるも失敗、帰郷し怒り狂った佐田と駆け落ちを約束するも、土壇場で佐田だけが蒸発、、、どうすることもできずそのまま嫁入りして時は流れる

デコちゃんは夫婦になって何年経とうがあの日の無体を許すことはできず、その時の子である長男(田村正和)もかわいがることが出来ない
仲代達矢も自分を憎む妻、妻の心にはいつまでも佐田啓二があることが許せなく辛くあたり、そして苦しむ

そんな歪な夫婦生活、愛憎劇を展開していきます
そんな家庭環境だから子供たちもいろいろあって、、、
次男のお母さんがお父さんを許さない限り、自分もお母さんを許さないって台詞がグサリと来ます

高峰秀子の気持ちもわからなくはないけど、かたくな過ぎますね、いくら時が経ち、3人の子を持とうが消えない思いがある、それがどうしてもどこかに出ちゃうから関係も歪になる
もちろん仲代達矢が悪いんだけど、、、どちらかと言うと仲代達矢の心理のほうがわかる気もするなー

うん、どっちもわからなくはないんだけどお互いが傷つけあい憎しみあう不幸の連鎖よね
それでも意地になって一緒にいる2人、ラストでは少し雪解けが見えたかのようではあるけど、、、今更あんまり変わらない気もするなー、ここまで来るとどっちもどっち

あとはこの映画ですっごい気になる劇中歌!
場の空気を読まないラテン的なBGMに、
「昔一人の女が〜、ソレガデスナ!ソレガデスネ!」とかシュールな歌詞と声の妙なテンションの歌が何度も流れてくる
これは流石にないでしょー!インパクトは凄いけど、なかなかぶち壊してるところも多いかと
櫻

櫻の感想・評価

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憎悪ほど強い感情はない。心の底でドロドロとマグマのように波打っている憎悪をしずかに燃やしながら、自分の運命を踏みにじった男への復讐に半生を費やした女の性。長年にわたり、継続して憎み合うふたりの凄まじいエネルギーに魅せられてしまった。許すも許さぬも、彼らを癒す術にはならず。逃げずに自らを生き地獄に陥れ、そこで新たに見えてくるもの、それは何か。何もないかもしれない、いや、ただの情だけかもしれない。あの日の悲劇の中で産んだ我が子を失っても、憎まれても、彼女の悪夢は覚めない。

では、いっそのこともっと堕ちていきましょう。忘れたくても忘れられないことばかりで、苦しみの中を泳いでも、一向に岸にたどり着けない。悲哀を通り越し、涙も枯れてしまった。死に損ねた我が身に鞭を打って、これからも憎悪の念を向けるあの男と彼女は生きていく。

脚本がおとなしすぎたため高峰さんが提案したという、熊本弁のフラメンコがハイライト。
#492/2005/11/4
当時の結婚の捉え方って今とは違うけど、今でも夫婦、家族において通ずるものはあると思う。夫婦とは何か。とにかく映像、音楽に圧倒される。
t

tの感想・評価

3.5
仲代達矢のままらない独占欲。足が不自由なキャラは歪んだ性質を持ちがち。その彼が自分の足で歩くことと、反復される田舎の一本道がエモーションへ結実していく。本作のフラメンコといい、木下恵介・忠司の音楽センスには割と謎なところがある。
yh

yhの感想・評価

4.0
勝手に『野菊の如き君なりき』的な話かと思ったら愛憎劇で、しかも憎の部分がけっこう大きかった。
音楽がフラメンコなのが斬新に感じた。
高峰秀子っていかにも古風な顔立ちだと思ってたけど、本作では芯の強い女性を演じてて気持ち良かった。
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