茶一郎

フィフス・エレメントの茶一郎のレビュー・感想・評価

フィフス・エレメント(1997年製作の映画)
3.9
 【短】動くバンド・デシネ。フランス映画史に残る超大作。バンド・デシネを見て育ったリュック・ベッソン監督のフェティシズムと16歳の頃から温めていた創造力が莫大な製作予算と共に爆発した、愛すべき底抜け超大作であります。
 
 全生命体を滅ぼすエビル。そのエビルに対抗する唯一の武器がタイトルの『フィフィス・エレメント』を指します。本作『フィフス・エレメント』は、5つ目のエレメントであるリー・ルー(ミラ・ジョボビッチ)と偶然、彼女に出会った元軍人・今無重力タクシーの運転手コーベン(ブルース・ウィリス)が全宇宙の平和を巡る争いに巻き込まれるSF映画です。
 
 『ダイハード』のパロディや、都合の良い物語が槍玉に挙げられる作品ではありますが、宇宙人の造形、それを再現した美術、何よりBDの映画化として個人的には嫌いになれない、好きな作品でした。デビュー作『最後の戦い』では、バンド・デシネの陰影表現をモノクロ映画として映像にしたリュック・ベッソン。本作のビジュアルは20年近く経った今でも斬新さを感じます。

 そして『最後の戦い』、『ヴァレリアン』同様、一見、コメディ的な物語が「愛」の物語になるというストレートさも印象に残ります。リュック・ベッソンにしてみれば「愛」こそ全宇宙、全地球を救うものであると。
茶一郎

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