孤児が主人公の映画では、「この道は母へと続く」とツートップをなす傑作。
韓国の孤児院からフランスの里親に引き取られた監督(ウニー・ルコント)自身の体験が元になっているが「この道〜」も実話である点が共通している。
自分が父に捨てられた9歳の少女(ジニ)だったら、という視点を持てるかどうかで決まる。そういう視点で見るならジニの行動はすべて合点がいく。見せかけの優しさを拒否する孤高の精神が水晶のように輝く。
自分がジニなら、「この道〜」のように脱走して父を探すか、世の中を恨んで犯罪者になっていたような気がする。実際、犯罪者には不幸な環境で育った人間が少なくない。
「この道〜」と同じで、唐突に画面が消える終わり方がいい。ハッピーエンドになるかどうかは観客の想像力に委ねられる。しかし9歳で異国の地を踏み外国人の子どもになる、こればかりはどうしても想像が及ばない。
想像が及ばないがゆえの感動。こんな映画はこれまでになかったし、これからもないだろう。