ABBAッキオ

マトリックスのABBAッキオのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
4.6
 1999年制作。この作品は何十年かに一度、時代の変化を画した作品だと思う。CGの利用など映像技法もあるが、その技法を使ってヴァーチャル世界を描ききったところが新しい。それまでも発想としては非現実世界はあったが、そもそも映画が非現実なので、逆に非現実を非現実らしく描くことは難しかった。しかしこの映画では二つの世界の転換を明示し、非現実世界でのSF活劇を描くことでハリウッド作品として成功している。改めて見るとアニメの攻殻機動隊の影響を強く感じるし、実写版としてはこれで十分だと思う。なぜ攻殻の実写を作ったのか謎。Tenetもすぐれた作品だが、こうした二重世界の描写についてはマトリックスのバリエーションだ。それくらいこの作品の影響は大きいと思う。あと、モーフィアスの Welcome to the desert of the real.の宣言が耳に残る。シン・エヴァでシンジ君がたどり着いたのも「現実」のはずだが、そこにはやさしいマリさんとの明るい未来が存在していた。現実の砂漠が広がっていないのは優しさなのか甘さなのか。
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