デイジーベル

マトリックスのデイジーベルのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
3.7
90年代の最後に作られた、恐らく誰もが知ってるであろう(見た事は無くても)有名作品。

特に映像技術、SF要素、アニメ的要素、アクションシーンが革命的で、後の作品に大きな影響をもたらしたとも言われているが、この作品の″核″の部分は、【自分を取り巻く世界と、人間の潜在意識】であり、やはり名作だと思う。
(今となっては、映像的に目新しさを感じなくなってると思うが、それでこの作品の価値が大きく低下する訳ではないと思う。)

ヒーローが居なくなった90年代(エヴァンゲリオンが放映された時代でもある)、″引きこもり″という言葉が生まれ、人々は消費によって安心を得、安心を捨てるぐらいなら自由や真実なんて要らない、そんな時代背景への警鐘か、そんな時代だからこそ生まれた作品だと思う。
(そしてファイトクラブも同年公開だ)

時間さえあれば携帯をいじり、SNSの友達の数を増やして安心感を得、″いいね″の数で満足感を得る。00年代以降は更に狂った(囚われてる又は支配されている)世界になっているのかも知れない。
いずれ私達も、ネオのように″選択″を迫られる時が来るのかもしれない。私達はネオのように、″真実″を選び、自己を解放する事が、出来るのだろうか?真実を選ぶ事が正しい事なのかはわからないし、自分が真実を選ぶのかもわからない。
ヒーローが必要な時代は悲しい時代だが、ひょっとしたら今の時代にはヒーローが必要なのかも知れない。


「真実(自由)を手に入れる為には、安心を捨てる″覚悟″が必要だ」 そう伝えている気がする。


突っ込み所はあるが、それでも普通にSFアクション映画としても楽しめる作品であり、今観ても色々と感じ取る事が多い作品だと思う。