Oto

マトリックスのOtoのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
3.6
"大海を知らない井の中の蛙"って実は幸せなんじゃないのか、って問題は自分もよく考える。
一度知ってしまった大海を忘れて、平穏な井の中に戻って暮らすのは難しいし、自分がいるのが大海か井戸か知るのすら難しい。それでもサイファーみたいに大海を知った上で井に戻っていく人は現実社会でもたくさんみるし幸福ってわからんなー。

虚実混同系というか虚の中で戦う系インセプション、ドクター・ストレンジ、ベイカー街の先輩かなと思うけど、上のようなテーマを明言しているのは新鮮に感じた。
マルホランド・ドライブとかコクソンが描いたような現実という存在の曖昧さを、進化するテクノロジーを逆手にとって描くのも面白い。何も加工していない普通の現代都市がかなり偽物っぽく見える。

ヒーロー映画にありがちな選民思想の否定、設定を引っ張って後出しにする展開とか、人気の高いのも納得。
結局は選ばれた者じゃなくて、そう信じ続けられる人が偉い(アナキンはその真逆)=運命より行動という話だと思っていたら、その割に最後は覚醒して超人になってややブレてる感はあった、まぁ架空世界だからなんでもありなんか。

アクションの撮影技術(特にバレットタイム)はすごいけど、今見ると計算機の速度もGUIも解像度もかなりショボい。現代のアップデート版を作っても面白いだろうなと思ったけど、それがレディプレイヤーワンなのかも。「現実よりもリアルな架空」が現実になってる。そしてまた20年後にはショボく感じられる映像なのかもしれないので、SFってエンドレスで最高。
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