あんがすざろっく

マトリックスのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
5.0
あれから20年ですか…。
2000年代に入ってからの作品のように錯覚するけど、1999年の公開。新世紀を目前にして上がったサブカルチャーの狼煙であり、正に新しい時代の到来を予告していました。

最初に観た時、周りの熱狂ぶりに少し違和感を覚えたんです。
テンションが上がるアクション映画って、もっと陽性のエネルギーがあって、アドレナリンがたぎる作品だと思ってましたから。

この作品、ダークSI-FIだから、暗いじゃないですか(笑)。
その暗い世界観に熱狂する気持ちが分からなかった。
観終わった後の高揚感みたいなものは、周りの人に比べると低かったように覚えてます。
思えば「AKIRA」などのジャパニメーションも世界中で評価されていて、SFのこういうダークな世界観が、既に世の中に受け入れられていたんでしょうね。
僕は初見ではそれ程熱を上げられず。

が、しかし、確かにどのシーンも、今までに見てきた映画と、全てが違う。

「自分は今、とんでもない作品を目にしている‼︎」

これが革命的な作品であることには、異論を挟む余地がありませんでした。
結局、劇場で3回も観てしまうことに。

インターネットの中の世界を、こうも具現的に映像で見せられるとは。しかも、アニメでなければ表現できないような世界が、実写で繰り広げられている。
設定も、キャラクター紹介も、必要以上に説明過多ではない。

映画の中で、主人公のトーマス・アンダーソンは、常に何かを探し求めている。
その何か、とは。
既にアンダーソン君は探し求めているものが何であるかに気づいている。

マトリックスとは、何か。

それが当然のように、観客に掲示される。
モーフィアスも、トリニティも、アンダーソン君が出会うべくして出会う人物。
アンダーソン君がマトリックスに行き着くのも、必然であったのだとすんなり納得させられてしまう。
アンダーソン君が、モーフィアスの探していた
救世主“ネオ”であることも。

そのストーリーの構成、アクション、VFX、どれをとっても唯一無二。

哲学的な側面もあって、難解な部分もありましたが、それが癖になってやめられなくなります。

速く動こうと思うな。速いと知れ。

速く動こうとするということは、まだ自分は速くない、という思考の裏返し。

考えるな。感じろ。なんて台詞も、かつてありましたね。

僕は香港映画とカンフー映画をほとんど見ないんですけど、ブルース・リーって、やっぱり時代を切り開いた人なんだな、と改めて思いました。

カンフーアクションとハリウッドのデジタル映像の融合は、中毒になるくらい斬新でした。
あっ、これなんだ。熱狂というより、中毒性。

音楽もですね、当時でいうところのデジロック勢というんですか、なかなか尖ったアーティストのコンパイルアルバムになってました。
エンディングに流れるのは、マリリン・マンソンの「Rock is Dead」。
この曲が収録されていたマンソンの「Mechanical
Animals」というアルバムは、ちょっとポップ寄りになってたので、前作「 Antichrist Superstar」の尖った感じが好きだった僕は、少し物足りなさを感じたのですが…。
どちらかと言うと、ラストのネオの宣戦布告に被って流れてくるRage Against the Machineの
「Wake Up」が、流れるタイミングといい、絶妙過ぎる‼︎
この「Wake Up」を聞きながら、ウォシャウスキー姉弟(当時は兄弟だった‼︎これも20年の月日…)はマトリックスの脚本を書き上げたそうです。
Rageと言えば、思い出す空耳アワー。
「Killing in the Name of」というナンバーの空耳が、今でも一番好きなネタです。
気になる方は、youtubeで「ナゲット割って父ちゃん」で検索してみて下さい(笑)。

サントラには大好きなThe Prodigyも参加。
アルバム「The Fat of the Land」は後世に語り継がれる名盤です。まるで鋭利な刃物のような存在感。ジャケットもカッコイイ。
まだまだ活躍して欲しいバンドでしたが、MC/ヴォーカルのキース・フリントが今年3月に自殺してしまい、今後の活動はどうなるのか。
フロントマンであり、その個性的なルックスとパフォーマンスが突出していたフリントだけに、残念でなりませんね。
他にもサントラは何組も参加しているのですが、僕が知ってたのは3組だけ。
通して聴くとマトリックスの世界を堪能出来ます。

ゲームには全く無知ですが、プレステ2が発売した時に、DVDが見れるというので購入して、最初に買ったDVDは「ゴーストバスターズ」でしたが、その次に買ったのが「マトリックス」でした。
この作品で爆発的にDVDが普及し、プレステ2の売上も一気に伸びたんですよね。
一家に一枚、マトリックス。
エポックメイキングという意味で、映画ファンなら一度は通る道だと思います。

その誕生から20年。
ついに、4D公開が決定。

僕は3Dに絶対的な信頼を持ち合わせてないし、期待もしてません。
普通に映画を観るより、値段を高く払う訳だから、その対価に見合った価値が保証されないと、気持ちよく劇場を後にできません。
だから、滅多なことでないと、新作を3Dで観ようという気になれないんです。

でも、「ジュラシックパーク」なら、「ターミネーター2」なら、「マトリックス」なら、過去に観てたって是非とも3Dで味わいたい。
最初の2本を3Dで見逃してしまった今、4Dなんて新たなフォーマットに腰は引けますけど、これは見逃がす訳にはいかない。

ネオの覚醒シーンをまた劇場で観れるのか〜。あれはテンション上がりましたからね。バレットタイムで酔わないように。そんなことを思いながらも、それ以上の期待感で、再びの劇場体験を待ちたいです。
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