もーがんはむ

渚のシンドバッドのもーがんはむのレビュー・感想・評価

渚のシンドバッド(1995年製作の映画)
4.9
永遠に忘れ得ぬ、かけがえのない映画だ。
俺にとってのマスターピース、No.1の日本映画。

主人公伊藤は橋口亮輔監督の分身なのかもしれない。
繊細で弱々しい、でもどこか芯のある少年。
僕にとって岡田義徳という俳優は、木更津キャッツアイのウッチーではなく、伊藤なんだ。
歌手としてブレイクする以前の浜崎あゆみの演技が素晴らしい。
素晴らし過ぎる。
彼女はきっと女優としても頂点を極めていたのではないだろうか。
橋口監督の丁寧な演出と岡田義徳と浜崎あゆみの名演によって、難役であろう伊藤と相原がスクリーンで輝いている。
正真正銘、キャラクターが生きている。
まるで自分のクラスメイトの様に。

人を好きになるって何なんだろう?
考えてみると不思議なものだ。
正解のないことであるが、相原のセリフはどこか真理をついているようでドキッとさせられる。

どこか懐かしく、美しい長崎の風景。
いつかあのロープウェイに登ってみたい。
伊藤たちの通う学校に訪れたい。
もしかしたら彼らを感じられるかもなぁ。

相原の故郷に向かう電車が、トンネルから抜け出す瞬間の解放感が大好きだ。
高橋和也の音楽も秀逸。

終盤の浜辺のシークエンス、橋口監督得意の長回し。
主演3人による生身の、剥き出しの魂のぶつかり合い。
まるでキャラクターが乗り移ったかのような凄まじい演技だ。
瞬きするのが勿体無い。

ラストシーン、伊藤が見据える先には何が待ち受けているのだろう?
しかしながら伊藤の表情は、行きの電車とは明らかに違って見える。
その顔には、どこか爽やかで、確かな決心が感じられる。
少年が大人になる瞬間。
最高のエンディングだ。

橋口監督の作品はいつでも観る者の傍に寄り添ってくれる。
10代の少年少女にこそ見て欲しい。
橋口監督の「きっと大丈夫だよ」という温かいメッセージを受け取ることが出来るだろう。

『渚のシンドバッド』
橋口亮輔の原点であり、最高傑作。
まさか劇場で、フィルム上映で鑑賞出来るなんて。
キネカ大森さんありがとうございます。
さあ、今週末は『恋人たち』公開だ。
俺のNo.1が更新されることを大いに期待。
でも、この映画を超える邦画が出てきたら寂しいかな...