みおこし

隠し砦の三悪人のみおこしのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
4.2
参りました、の一言。黒澤さんのくの字も知らないような、数本しか観てない私が言うのも難ですが、個人的には黒澤作品の中でも最高傑作の一本では無いかと思います。ルーカスが本作から『スター・ウォーズ』のアイデアをいくつか得た、という話も十分頷ける冒険活劇。
本当に、ちょおおおおお面白かった!!!(笑)以前知り合いに「お前映画好きって言ってて黒澤作品見てないのは話にならんぞ、特に隠し砦!」って指摘を受けて、そんな面白いのか〜?なんて疑ってしばらく見ようとしなかった自分を殴りたい。(笑)

冒頭のシークエンスからもう取り憑かれたように魅入ってしまいました。音楽もいかにもって感じで最高!!!
敗国の雪姫と、その家臣であり勇猛な武人として知られた六郎太は、国境を越えて同盟国に逃げるべく逃避行を続ける。ひょんなことから出会った百姓コンビ、太平と又七を仲間に加え、一行の波乱に満ちた旅が始まる...とあらすじを書いでてるだけでテンション上がりまくり。
まず、当時の邦画の中では断トツで登場人物のキャラが濃い。『羅生門』もそうだけど、徹底的にキャラを深く掘り下げる手腕に誰よりも長けてる監督だと思う。

『天国と地獄』を観たあとだったから三船さんの荒々しい演技がなおさら「キター!」感があって、娘をサッと抱え上げて自分の背に乗せて馬で走り去るあのスタントとか鳥肌立ちました(笑)。
雪姫役の上原さんはこれでデビューしてすぐ引退されてますが、圧倒的存在感。「犬死には無用!志あらば続けっ!」なんてカッコいいセリフを、馬上からキメられる女優さんが世界にどれだけいるでしょう、いや、当時他にいたでしょうか。男勝りで賢くて、守られる姫ではなく、忠誠を誓うべき君主としての威厳に溢れていて、六郎太が彼女に必死で尽くすのがよく分かった。

そしてそして千秋実さんと藤原釜足さん。
R2D2とC3POのモデルとのことですが、それよりも遥かに腹黒いし馬鹿だしお茶目なんだけど、それが斬新すぎて!ただのおっさん2人なのになんでこんなに魅力的なの?掛け合いにキレがあって、面白くて、最高でした。
おいしい役どころとしては兵衛役の藤田進さん。黒澤作品を支えてきた、偉大だけど比較的地味な役者さんですが本作は鳥肌もののカッコよさ。彼がどんな結末を迎えるかをお楽しみに!

おっしゃる通り、ラストシーンはSWの4にそっくりです。でもこの展開、この構図、この演技...とにかく完璧なエンディング。
娯楽とは何たるかを痛いほど見せつけてくる最高の締めくくり、大団円なので皆様もしかとその目で見届けてください!涙は出なかったけど、心の底から「最高!!!」とニヤニヤしながら観終わりました。

どんな言葉で飾っても、この作品の素晴らしさは観てもらわないと伝わらない気がする。老若男女楽しめる、日本が誇る最高のエンタテインメント作品です!
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