くろねこヤマ子

囚われの女のくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

囚われの女(2000年製作の映画)
4.2
上っ面的に「めまい」が取り込まれていて
(え?そうでもないの?)
これサスペンスなのよ〜って言いながら、
実は哲学論じちゃってるアケルマン、クール。
(プルースト読まない人が感想書くとこうなる)

知らないことに魅力を感じる女には、
全てを知りたがる男の言葉は響かない。
ただただ男のモヤモヤが
募るばかりの物語。

気づくか諦めるか受け入れるかすれば
とっても楽になるんだろうけど、
主人公であるシモンは
「自己同一/他在」的思考から離れることは
まぁきっと未来永劫出来なさそうだし、
それゆえ彼のネガティブ思考は加速し、
観客はぐったりしながら
それを見続けるという、修行のような作品。
(めちゃんこ褒めてる)

作中の女性たちが軽やかであればあるほど
「固有/異他」を軽視する輩が
情けなく見えてくるアケルマン的魔法。

フェミニズムって言葉そのものに
違和感を感じるお年頃ですが、
アケルマンを真面目に考察している方の
書籍なぞあったら
読んでみたいなって思った。