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ショーシャンクの空にのstneのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.5
ブルータスの特集に『今さら観てないとは言えない映画』というのがあったけれど、私にとっては本作がまさにそれだった。そして多くの人が口をそろえて言うように、まごうことなき素晴らしい作品だった。観賞後、映画が持つ確かな暖かさが私を包む。

夢、希望、愛、絶望、恐怖。映画が描くテーマは基本的に同じだ。だから個々の作品は、それをいかに映し出すかこそが重要になる。主人公への共感と結末の納得なくして、私たちは物語に没入できないからだ。そして、大きな感動もそこにはないからだ。

本作を観た多くの人が心を動かされる理由はそこにある。確証もないのに投獄され、刑務所でも待つ凄惨な出来事。そんな彼はしかし希望を語り続ける。絶望的な状況でも常に光を失わない理由と、待ち受ける結末を知るとき、強い感動が私たちに訪れる。主人公への没入と終わりに迎えるカタルシスという面において、そしてプロットとセリフ回しにおいて、この映画は圧倒的に素晴らしいのだ。

「夢を叶えることは素晴らしい」「希望を持ち続けることは大切だ」文字に起こせば何ともないそれらを僕たちに信じこませるために、映画は二時間に引き延ばされ、物語として私たちに提供されるのだ。そこに納得というスパイスをかけて。

本来ただの作り話である映画をそれでも観る原初的な理由を、この作品は思い出させてくれた。

もちろん感動的な二時間を過ごしたって現実は何も変わらない。だけど、映画を通じて夢を見ることが無駄なことなどでは決してないこともまた私たちは知っている。それは、例えば「また明日頑張ろう」と思わせてくれるといった、確かな具体性をもって私たちに影響を与えてくれるからだ。

本作はこれから節目節目で何度も見たくなる作品だ。そして、映画好きなら、確かに今さら「観てない」とは言えない映画に違いない。