はる

ショーシャンクの空にのはるのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.8
何回も観ている作品ですが、今回レビューを書こうと思い改めて鑑賞しました。
ネタバレを避けるため少々抽象的に書きます。


今作の主位的なテーマは皆さまがご指摘されているように、【希望(ないし生きること)】だと思います。
そして副次的ではありますが、人間らしさや正しさ、司法制度についても考えさせられました。
それを主にアンディーと1番の友人の視点で描きながら、作品の至るところにそのメタファーを散りばめている作品だと思います。


心の自由(≒希望を持つこと)が生きている証(人間らしさ)と言わんばかりに、アンディーは頭や心の中で音楽に耳を傾け、知を愛し、図書館を作り、他人に学びを施します。

「音楽(希望、自由)は人から決して奪えない そうだろう?」
「心の豊かさを失っちゃだめだ」
「人の心は石で出来てない 奪えない何かがあるんだ」
「それは希望だ」

と、1番の友人がかつて吹いていたハーモニカを希望の象徴としてプレゼントし思い出させます。
しかしその友人は頑なに
「希望は禁物だ」
と言い希望を持つこと(=人間らしさを取り戻すこと?)が出来ていないからか、ハーモニカも上手く吹けず、なかなか仮釈放になりません。

そんな中現れた若い希望が閉ざされたり、1番の友人でさえ何度も希望を持つことをやめろと言います。
それはまるで、世の中が希望といった眩しいものに反対の圧力をかけるように。


しかしアンディーは地獄のような460mを抜けたとき、1番の友人が“brooks was here”を見上げそうになったとき、彼自身が希望となって希望を持って生きることの素晴らしさを証明してくれました。

「覚えているかい?希望はいいものだよ」
「きっと何ものにも代え難い そしていいものは決して滅びることはない」と。

きっと、希望もありふれたものでも何でもいいと思うのです。明日に繋がる原動力となれば。例えば仕事終わりにビールを飲むとかこの目で太平洋を見るとか。
そして希望を持つことは、もっとも人間らしいことであって心が自由でなければ湧いてこないと思います。
それこそ希望を持たなければ、他人の許可がないと用を足せないような、本当の意味での囚人になってしまうと思います。

主に二人の視点で描かれていましたが、三人を対比させることで見事な程ストレートに今作のテーマを伝えてくれたと思います。
私もアンディーのように、誰かに希望を与えられるようなそんな存在になりたいと強く決心しました。

目を細めてしまうほど眩しく青が冴え渡るラストには、私もそこに自由を感じるとともに心に爽やかな風が吹きました。
はる

はる