ざきを

ショーシャンクの空にのざきをのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
5.0
必死に生きるか
必死に死ぬか

心は石でできているわけじゃない

なんでこんなにも良い作品を観ていなかったのだろう。物語が進むにつれて身体中に広がる温かさと、心がすっきりと晴れ渡るような清々しさ。

1人の真っ直ぐな人間が、無実の罪で劣悪な環境にある刑務所に投獄され、30年間様々な奇跡を起こしていく。死ぬために生きている受刑者たちの中で、生きるために生きていく主人公アンディの凛々しさ。その凛々しさが周りの人物たちを変えていく。図らずも他人に良い影響を与えていく、そんな生き方に尊敬の念を抱くと同時に、とても憧れる。

ティムロビンスがとても良い。常に無表情なアンディだが、ときに見せる笑顔がとてもチャーミングで、でもアンディの暗い過去を照らす笑顔にも見えて、笑顔一つで様々な思いや過去を読み取れる。彼の抜群の演技がこの作品を名作にしたのではないか?と私は思う。

刑務所から仮釈放され、社会に出たブルックスとレッドの描写もとても切なく、現代社会を生きる身としては非常に刺さる部分があった。長年いたコミュニティから出たときの不安と孤独。常に希望を持つことができているか?何のために今私は生きているのか?そう自分に問う良い機会となった。

この映画、真犯人は結局曖昧で、色々な解釈ができる。ヒューマンドラマにもなり得るし、ホラー映画にもなり得る。そんなちょっと難解な、スティーブンキングらしさあふれる作品だと思う。でも私はアンディが無実であることを信じたい。私は彼の"希望"を信じてみたい。

私は必死に生きたい。
ざきを

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