後世に残る超名作
ダニー・ブードマン・T.D.レモン・1900
通称"1900"
名前が長ったらしい天才ピアニストの話。
一生涯を船で過ごした数奇な男の話。
この世に'存在'しない男の話。
唯一の友人がそんな男を回顧していく進み。
◆とにかく音楽がいい
ティム・ロス(1900)初登場のピアノダンスシーンは圧巻。
大シケの船上での演奏は優雅で、聴覚的にも視覚的にも音楽を味わえる。
ティム・ロスの猫背も様になってたわw
1900の演奏の魅力のひとつが'暴走'
乗船客ひとりひとりの心象旋律を即興で弾く。そのため、同じものはなく半永久的。船上だけで過ごしてきた1900だからこそ、細かな機微まで繊細に表現できたんだと思うと、ちょっと切ない。
ジャジーやなw
そんな彼が船窓越しで、ある少女に出くわす。彼はその美しさに目を奪われ、奏でるメロディには変化が・・・
今まで'他人の音楽'を奏でてきた1900が初めて'自分の音楽'に出会う瞬間。
あまりにもロマンチックで、あまりにも少女(メラリー・ティエリー)が美しすぎて、いい意味で吐きそうになったw
でも音楽だけじゃない。
◆セリフが深い
心に刺さるセリフもあれば
隠喩が効きすぎてて解釈に困るセリフも多々
中でも、度々登場し核となっているセリフがある。
"You're never really done for as long as you've got a good story and someone to tell it to."
「何かいい物語があって語る相手がいる限り、人生捨てたもんじゃない」
(Dr.ヒルルクも同じようなこと言ってたな)
1900は二度も下船のチャンスを逃している。
個人的には、それが解せなかった。それは映画的な流れとかではなく、一人の人間として。
そして、船の爆破処理により命を落とす。
しかし、1900は爆破前に思いを語っている。
「終わりのない世界が上からのしかかってくる。考えるだけで恐怖に潰されちまう。」
「僕だって夢を描いた。だが舳先と艫の間に収まる夢だ。」
「陸地?僕には大きすぎる船だ。僕には美しすぎる女。長すぎる船旅。香りの強すぎる香水。僕には弾けない音楽だ。僕は船を降りられない。だから人生を降りるほかない。」
「無限じゃない鍵盤で自分の音楽を創る幸せ。それが僕の生き方だった。」
思いの外、冷静だなと。自分の住む世界を理解できてるってすごいことだなと。
(それでも飛び出してほしかったのが本音)
そして、キーセンテンスが頭を過る…
彼の物語を語る友人がいて、原題「THE LEGEND OF 1900」の映画を観てる自分がいる。
そうか彼は生き続けてるんだ!と。なんだか勝手に救われた気持ちになって号泣。
夜桜に泣くチョッパーになれる映画