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海の上のピアニストのまるまるのレビュー・感想・評価

海の上のピアニスト(1998年製作の映画)
4.4
1900年。
大型客船ヴァージニアン号。夢の大陸アメリカに向けて、目を輝かせた多くの乗客を乗せて航海する。
その船のピアノの上に赤ん坊が捨てられていた。機関士ダニーに拾われたその子はダニー・ブードマン・T・D・レモン・1900という、ありったけの祝福を詰め込んだ名前を付けられ、ダニーに育てられる。
長じて、この一歩も陸に上がった事のない1900は、ヴァージニアン号の天才ピアニストとして、今日も満座の客を沸かせて生きてます、が…というお話。


ジュゼッペトルナトーレ監督。
監督によると、この映画は「教訓を含んだ現代の寓話」だそうです。
正直、教訓ってのが何なのかわかりませんでしたが、寓話ってことならわかりました。
良い映画は妄想が捗る。
この映画は監督自身を描いた物語だと思いました。
この映画とニューシネマパラダイスは表裏一体で同じ話。
「ニューシネマパラダイス」を寓話という形に落とし込んだのが「海の上のピアニスト」だなと。

アルフレード = ダニー = 生きる道をつけてくれた大恩人
金髪碧眼のカワイコさん = 金髪碧眼のカワイコさん = 生涯忘れ得ぬ最愛の人
トト = 1900+マックス(トランぺッター) = 監督

ニューシネマはアルフレードの話で、こっちはカワイコさんの話。

ヴァージニアン号は夢のゆりかご。
瞳に夢を宿した大勢の人が乗り込んできて、船の上で1900と大盛り上がりしたのも束の間、みんな船を降りていく。
陸地に上った後は、それぞれの生活という現実と向き合わなければならなくなるわけで、船と陸地の境目は夢を見続けるか現実に向き合うかの境目。

「海の声」
オレァ海にずっといるけど、そんなもん聞いたこともねぇ。
やっぱ地に足つけてる奴にしか聞こえないものがあるんだろうか?
って監督の声が聞こえてくるような妄想したw

その狭間で…悲しい恋をしたんだろうなぁ監督。
監督やってなかったら、今頃魚屋やってたのかも。
魚屋になろうと一度は決めた。けれども…っていう。
自分の中の1900は死んだ。今生きてるのはマックスだけなんだって事なのかなぁと。

ニューシネマパラダイスで一躍有名監督の仲間入りを果たした33歳のトルナトーレ監督。それから10年後。この映画で一区切りつけたのかなぁと思いました。


暗い船室でピアノを弾いてる1900。船窓に切り取られた鈍色の空と海。明るく浮かんだその領域に、飾り気のない無垢な表情のあの娘のシーン!
君の瞳に永遠という幻を見た!(byスターダストレビュー)
時間よ止まれ!(by矢沢永吉)ってのはこのことか!
美しすぎる!胸が締め付けられる!
窓辺からゆっくり立ち去る、あの娘!
いかないで~(by舘ひろし)

…(>_<)こういう命を削るボケだか間違いだか微妙な事書くのは今後絶対やめよう…


カワイコさんのこのシーンがトラウマレベルで引き立つ映画。

この監督にはやられっぱなし。
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