ケーティー

銀河鉄道999のケーティーのレビュー・感想・評価

銀河鉄道999(1979年製作の映画)
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かなり内容を詰め込んでるが、うまく捌いている。基本は冒険活劇ながら、時折挟まる音楽とアニメーションの叙情のシーンもいい。


改めて観ると、内容はかなり詰め込んでいるし、ご都合主義な展開も多い。しかし、それでも成立しているのは、鉄郎の決断を要所要所でしっかり入れているからだろう。彼の勇気ある(主体的な)行動があるからこそ、観客は思わず応援したくなり、ご都合もよかったねと思ってしまうのである。このあたりのもっていき方は、職人的なうまさを感じる。

また、ポイントポイントで入れている情感のある台詞も好きだ。すごいクサいことを言わせてるんだけど、それがいい。このあたりは、実写ではなくアニメだから飛んだ台詞を言わせられる強みもある。(また、野沢さんなど声優陣もうまい)

ご都合(強引な展開)やクサい台詞は、ともすれば実写では、観客を冷めさせてしまい、批判の的となりかねない要素でもあるが、それをアニメであればこそ、成立させられいるし、それが単に拙いのではなく、よく考えられてつくられている職人芸なのである。それが全体にある。
また、序盤の主人公の事情・境遇を台詞なしでシーンで一瞬でわからせ、すぐ切符を盗むというアクションから始めるところなど、捌き方のスマートさも勉強になる。近年の邦画はこのあたりが弱い。例えば、都会の孤児の話でしっかりエピソードを作ってしまい盗みになかなかいかないなんてことに、なってしまうのである。それでいて、中盤から後半が練り込み不足だったり……。こんなことが最近の邦画ではよくあるのだ。本作は、全体の構成の妙、シーンのメリハリやリズムの作り方が実にうまい。