シネマスナイパーF

キング・コングのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

キング・コング(2005年製作の映画)
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エクステンデッド版
大傑作
良くも悪くもやりすぎだけど、やりたいことがあるならやらないという選択肢はない、という気合いに溢れてる
そりゃ正直100分前後の映画が最も気分よくはありますが、すべてを注ぎ込んで作ればこのぐらいの長さになるのは当然だと思うし、俺は映画を観た!!!!!!って気分になる
美女ひとりを置き去りにしないための救出道中で17人の男を亡くすってアホちゃう?って感じだけどそういう意見いらねえから!!!!!って自分で思っといて思った


まず僕はオリジナルのキングコングを知りませんし、なんならこれよりも先にモンスターバース版を劇場で観ちゃっているので、僕にとってのコングはシーザーを何百倍もデカくしたアイツなわけですよ
なんで、リアルゴリラ🦍寄りの造形は完全にトレンドの違いが出たなと思いました
今はまんまやることをリアルと呼んでしまうと少しダサいですからね
ただ、同時に別の理由もあるような気がする
今回のコングはオリジナルと同じでニューヨークに連れてこられてしまうじゃないですか
可哀想な獣なわけですよ
あまり神格化しすぎると獣ならではの同情票が得られなくなってしまうし、予測不能な面も薄れてしまう
だからこの作品の方向性とも合致しているというわけです

ピーター・ジャクソンが作っている以上、主役はコングでも、そのコングが暴れまわる世界そのものも同じぐらい存在感のある主役と言っていい
僕が一番惚れ惚れしてるのはニューヨークですよ
行ってみたいもんね
恐慌の時代でも、その場所が美しく作り込まれていれば、コングがそこにやってくることで美しさがコングの仇となるってのもいろいろとわかりやすい
スカルアイランドは虫がエグい
映像見てるだけでもトラウマレベルの気持ち悪さ
基本怪獣たちはフルCGですけど、ナオミ・ワッツとの意思疎通があるコングに関しては、出ましたアンディ・サーキスが少し高いところから一緒に演技するといった工夫がされています

人間模様もスカルアイランドに行くまで1時間かけてるだけあって見応えあり
エイドリアン・ブロディがヒーローってお前優秀な俳優だからこそわざと弱そうな人を連れてきてやらせてんだろピージャクよって感じ
ジャック・ブラックの執念深さはやってること自体を褒めることはできなくてもわからんでもない姿勢ではあるし、ピージャク自身だと思えばラストも納得
カイル・チャンドラーが始めて顔に合った役を演っていると感じた
宇宙飛行士とかゴジラのヒーローとかよりこういう胡散臭さを隠さない方がハマってるわ
ご本人の顔で出てるアンディ・サーキスもよし

美しさ、それはピーター・ジャクソンの美学
最大限の愛情をもってコングを描き、最大限の愛情をもってスカルアイランドをつくり、あの惚れ惚れするようなニューヨークに連れてきた
美しい心を持った美しい女性と美しい夕日を見たコングの純粋さはなによりも美しかった
不況で行き場を失いかけていた美女、孤独と戦い続けた屈強なコング、ふたりの繋がりは何よりも美しかった
しかし美しさを極めたその時コングは命を無くしてしまうと…切ないな…
豪快な恐竜の編隊走りや池の主の襲撃などのスカルアイランドでのスペクタクルがこれでもかとボリューム満点しかも超ハイクオリティだからこそやっぱ文明の地でのコングの哀しさが際立つね
ロード・オブ・ザ・リング以上に自分の全てを注ぎ込んで作り上げた一大巨編って感じがしたよ


感動した
この作品そのものに