桃子

悪魔の手毬唄の桃子のレビュー・感想・評価

悪魔の手毬唄(1977年製作の映画)
4.0
「視覚的魅力」

市川崑監督・石坂浩二主演による金田一耕助シリーズの第2作。第1作は邦画配給収入2位(13億200万円)のヒットとなったから、第2弾を作るのは当然のことだったのだろう。石坂浩二は金田一耕助が当たり役となった。知的な感じが受けたのかと思う。経歴を見ると、慶応の法学部を出ている秀才である。育ちも良くてイケメンで、言うことなしという感じ。大きなスキャンダルもなくて、80歳になった今もばりばり現役で俳優をしている。先週からNHKのBS時代劇「剣樹抄」を見始めたのだけれど、石坂さんは仏師の役で出演している。シブくてかっこいいおじいさんである。この時代劇は水戸光圀の若いころの話でとても面白い。おすすめです!
あら、また話がそれてしまった。悪魔の手毬唄、これは何と言っても、岸恵子だろう。この女優さんの存在感は素晴らしい。この方もまだお元気で活動していらっしゃる。一昨年のフランス映画祭で生の姿を拝見したけれど、全くお婆さんという感じではなかった。驚異である。
この映画には活動弁士の話が出てくる。金田一が謎解きをする中で、日本初の字幕スーパーが付いたトーキー映画『モロッコ』のラストシーンが登場しているのが興味深い。(未見の人は是非見てください!レビューはすでに書いています)。
見立て殺人の設定が面白い。まるで舞台を見ているようだ。殺される娘の姿も美しくておどろおどろしい。こういうストーリーを考えだす横溝正史はやっぱり天才かなと思う。映像として視覚的に魅力があるせいか、映画化が2回、テレビドラマ化はなんと7回もされている。私自身、シリーズの中では一番鑑賞回数が多い。見てしばらくすると細かい部分は忘れてしまうが、見るたびによく出来ているミステリーだなあと感服してしまう。
桃子

桃子