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虹をつかむ男のHiromasaのレビュー・感想・評価

虹をつかむ男(1996年製作の映画)
3.0
『ニューシネマパラダイス』を見終わって外に出たら、近所の人たちが勢ぞろいしていて「今日の映画。どやった?」と聞いてくる……正直、俺だったら逃げ出してしまうと思う。
ただ、単純な映画愛の押し売りという感じでもなく、映画としては良い作品だと思う。山田洋次は個々の映画の内容自体には割とどうでもよく、それを取り巻く人間たちの人生に興味があるのだろう。
あと、これを見ると山田洋次の寅さんに対する自己評価がわかる。主人公は最後に寅さんを見て、流れ者をやめて真面目に定職につこうと決めるのだ。

ところで、本作で西田敏行は映画『警察日記』の1シーンを思い出して語っている。去年上映されていた『風の電話』という映画でも、西田敏行が出てきて『警察日記』について語っていた。それを見たときはそんな昔の映画誰も知らないでしょと思ったが、あれはいわゆるシネフィル的な参照の仕方ではなく、けっこう具体的に、96年にリアルタイムで『虹をつかむ男』を見た人たちの記憶を喚起しようとしていたのではないだろうか。
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