HicK

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉のHicKのレビュー・感想・評価

3.4
《なんだろ、興味が湧きづらい》

【単発作品】
3部作完結後の今回の1話完結作なので公開当時はマンネリ感と続編の必要性の疑問を強く抱いてしまった作品。2、3作目は不親切な演出による難解さが残念だったが、今作は考えられない程シンプルに。細かいツイストはなく、ゴールに向かって一直線に進んでいった印象。 とても見やすい。

【でも、突出したものが無い】
物語の内容は薄く、一本道のアドベンチャー。ジャックには目立ったピンチも無くすんなり進んで行く。前作までのキャラとブラックパールさえ出てこないという点も更に物足りなさを感じる原因か?。ちなみに今回、ずっと陸の上にいるのでその辺も醍醐味が無くなってしまった要因かも知れない。

【「ジャック」とは?】
なによりキャラクターの扱いに問題がある気もする。本来、ジャックは主役としては成り立たないキャラクター。前作で言うとウィルとエリザベスが物語上の主役であり、ジャックはその物語に「受け身」で参加し、ツイストやスパイスを加え面白みを与える役割。じゃあ今作はと言うと、牧師と人魚が実質的な主役だが重要な役割はほんの一部。アンジェリカも黒ひげを紹介するための要因に過ぎない。結果、受け身でしか輝けないジャックにスポットが当たり、彼の推進力の無さで物語自体も薄くなっていた印象がある。ちなみになぜ人魚が黒ひげの寿命宣告を知っていたのかが掴めなかった。黒ひげも、何処にでもいるボス感しか伝わってこず魅力がなかった。

【それでも面白さ】
冒頭の国王の間でのジャックのアクションはシリーズの醍醐味であるコメディーが詰まっていて好きだった。マンネリとか言っといて結局"お決まり"も好きな自分。

アンジェリカもカッコよく、もっとジャック以上に活躍して欲しかった。もし今後続編が作られるのならカムバックして欲しい。

そして今回もハンス・ジマーの楽曲は最大の魅力のひとつだった。彼の音楽さえあれば多少の欠点も補ってくれる。エンドクレジットのメインテーマで一流エンタメ超大作として納めてくれる。好きすぎる。

【総括】
前作の反省を踏まえてか、たしかにストーリー展開はシンプルで綺麗。前作までのカルト的な難解さは無く、それこそ子供が楽しめエンタメ大作になっていた事には意義があるかもしれない。しかし個人的にはこれまでの魅力を踏まえると、様々な残念な要素が重なり合ってしまったようにも思う。牧師くん、もしくはアンジェリカを前作のウィルとエリザベスに匹敵するほどの存在にして欲しかった。
HicK

HicK