スポック

座頭市関所破りのスポックのレビュー・感想・評価

座頭市関所破り(1964年製作の映画)
5.0
関所の悪漢奉行と悪徳ヤクザの親分の悪だくみで、引き裂かれる兄妹と庄屋の父娘と迷惑を被る年末年始の賑わいを当て込んだ旅芸人達。

人間が描かれた良作だった。
貧しさと人生の後悔のために酒に溺れ、ボロボロになって義理も人情も忘れてしまいその上に意気地のない命乞いまでする老人。
その不義理な老人に父親の思い出を重ねて心が動く座頭市。
生い立ちの不幸を嘆きながらも、剣の道を極め、座頭市との勝負に負けて、潔ぎよく参ったと負けを認める用心棒の若侍。
その潔さと互いに強くなる事だけで生きていこうとする似た者同士の憐れみから切り捨てた後に若侍に羽織を掛けてやる座頭市の人間味。
殺陣の最中にもユーモア溢れる演出で楽しませてくれる余裕。
深みがありエンターテイメントのある座頭市シリーズの中のお気に入り。