垂直落下式サミング

座頭市関所破りの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

座頭市関所破り(1964年製作の映画)
3.3
座頭市の武勇として有名な関所破り。続編には、彼の無頼漢さを示す噂話として「座頭市は関所破りまでした無鉄砲な奴だ」という台詞がよく出てくる。となれば見物はその関所破りなのか?!何か事情があって裏街道を通り抜けるのに難儀する話なのだろう。これまでも市は裏街道を旅していたが、この話の大胆不敵な関所破りが語り草となってひろまったに違いない。如何に座頭市と言えど、御上の管轄であるところの関所を敵にまわすのだから策を労するのではないか。それが見物なのだろう。
そんな風な話を想像していたのだが、例の如く座頭市が困っている人を助けるために身一つで関所に乗り込んでいって、最後には全員打ち倒すというマンネリズムという名の様式美が炸裂!まぁ、類型的な話であるし、今回のライバル役の平幹二朗も、TVドラマで人気だからとりあえず呼んでみましたっていう感じがする。
これをオーソドックスとしてみられるのは、浅井昭三郎脚本の巧みさか。本作で座頭市は父を名乗る男に出会うのだが、これに騙され裏切られるというのを描くことで、シリーズの底流に流れるめくらの哀感を手繰り寄せ定番のストーリーに深みを与えている。
今回はアクションがあんまりだった。平幹二朗が居合い抜きを決めたあと剣を鞘に収め損なっていて、それがそのまま使われている。