KAYA

サクリファイスのKAYAのレビュー・感想・評価

サクリファイス(1986年製作の映画)
4.8
カンヌ国際映画祭で史上初の4賞を受賞し、映画詩人と呼ばれたタルコフスキーの遺作となった作品。
当初、ハムレットの映画化を予定していたが政治的理由で叶わず、亡命宣言を行ったのちにハムレットから着想を得たのがサクリファイス。全体を通して、レオナルド・ダ・ヴィンチの宗教画である《東方の三賢人の礼拝》の絵が象徴的に使われている。アレクサンデルの誕生日に海辺に植えた松の木も印象的。
核戦争が突然訪れた時の動揺とキリストへの信仰や心の葛藤を描いているんだけど、全体を通して体感できる、神々しい澄んだ空気と五感に訴えてくる芸術性に有り難みすら感じた。映画という枠を超越してタルコフスキーにしか作れない高尚な芸術であり、文学であり哲学である。
様々な物、配置、人物、セリフにメタファーを読み取ることが出来る。人間の愚かさも何も知らず眠る純粋無垢な坊やのベッドは、最後の楽園のようだった。