1000

サクリファイスの1000のレビュー・感想・評価

サクリファイス(1986年製作の映画)
3.9
『サクリファイス』再来。実に2年ぶり。
映画を見る目はともかく、大人しく座って2時間半見続けるだけの忍耐力は、着実と養われているらしい。

「死などは存在しない、死への怖れがあるだけだ」
静的なものへの安心感、動的なものへの恐怖によって、映画全体が敷き詰められていた。枯れ木に水をやるような「日課」が、轟音を伴う「儀式」によって侵食されることで、「おぞましく、動物的な死の恐怖」が支配する。
終末戦争だとか、魔女とのまぐわいだとか、「いちいち忙しいなぁ」という印象だが、要は父親が言葉を失い、息子が言葉を取り戻す話。これも一つの「言葉にまつわる思索」なのだろう。『永遠と一日』がこれのスピンオフに見えてくる。

ミルクがこぼれて色が失われる演出など、ハートフルすぎて愛おしい。これが"画"を”映”すということだよ。震えて眠れ。
1000

1000