くろねこヤマ子

サクリファイスのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

サクリファイス(1986年製作の映画)
4.2
観ていて
苦しい作品だった。

スライドする画面は
どこまでも美しく
完璧な構図だし、
それは才能だし、
彼の持ち味だし、
変わりないのだけれど。

タルコフスキーが映画的に
表現しようと試みたものは
彼自身の人生なのかも。

今作も、
誰に向けられるわけでもない
独白が続く。

体験や想いのモンタージュ。
詩的表現というよりも、
次なるエピソードのとの
繋ぎとして存在する。

元役者の主人公は
架空の人物だけれど、
彼の視点を通して
監督自身の人生が再創造され、
私たちは追体験する。

神への祈り、
魔女との交流で救われる物語。
メシアニズム。

幸福な家庭の象徴である家を
約束が果たされたため、
燃やす=手放す=犠牲にする。

多分、それが一番大切なものだから。
だからキリキリした気持ちになった。
苦しいなぁ。苦しいなぁ。

宗教が死への恐怖を
遠ざけるものだとしたら、
映画に自己投影することが
タルコフスキーの救いだったのかも。

彼の生前最後の作品。
泣けた。