あきら

サクリファイスのあきらのネタバレレビュー・内容・結末

サクリファイス(1986年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

タルコフスキーの画面作りって、なんかゾッとする。
画面の完成度なら作り込み方がもっと凄い監督もたくさんいるけど、タルコフスキーには背筋が冷えるような何かがある。白い布が揺れる部屋の情景とか、見ただけで震えるような何か。
恐怖とかとも違う気がするけど、それにボーっとなってると、うっかり台詞聞き逃したりするのが要注意。
ダヴィンチの絵を禍々しいと表現するの、なんとなくわかる。そういう感じ。
この火星的終末観。ディストピアというなら、これこそが相応しいんじゃなかろうか。

空気読まない犠牲的精神とか大嫌いだし、絶対に共感はしかねるのよ。
いやもうおっさんすんごい身勝手じゃん?若い女に聖母を求めて縋ったり、ほんといい加減にしろと思うじゃない?

けれど泣いてしまう。
椅子積み上げて点火するのも、水たまりに燃える家が映ってるのも、枯れた木に水をやる少年も。エモいでは言い表せない何かが、ひたすら私の涙腺を壊しにくる。
あきら

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