Soseki

サクリファイスのSosekiのレビュー・感想・評価

サクリファイス(1986年製作の映画)
4.3
タイトルは「犠牲」であり、映画はダ・ヴィンチ「東方三博士の礼拝」とバッハ「マタイ受難曲」の有名なアリア「憐みたまえ、我が神よ」から始まる。

ということで、宗教的で格調高いものを想像していたが、意外に下世話で生々しいものを描いていたように思う。
内容には共感しないんだが、映像美と合わせて感銘を受けた。

あらすじは意外とシンプル。

男の誕生日。男は海辺に行き、手術をして話せない状態の息子と一緒に日本の木を植える。

家に戻ると、ささやかな誕生パーティのため、妻、娘と友人2人、召使が集まっている。
妻と男は不仲。二人でこの家を見つけ住み始めた頃には、希望に満ち溢れていたのだが…

そこに突然核戦争が勃発。通信や電気が途絶え、彼らはパニックに陥る。

男は恐怖と不安の中、初めて神に祈る。自分はどうなっても良いので、世界を救ってほしいと。

すると友人から、この日もう帰宅していた召使マリアは魔女であり、彼女と寝れば世界は救われると示唆を受ける。

これを実行したところ、世界は平和になる。男は、息子に希望を託し、犠牲を捧げることとする。

このマリアとのやりとりから先が見どころ。犠牲もこういう形なのかという意外性があった。
信仰心というより、単に不快な現実に耐えられなくなり、全てを投げ出した…ようにも受け取れる。

そもそもの核戦争も彼の妄想かもなあ。
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