田旗浩一

日本侠花伝の田旗浩一のレビュー・感想・評価

日本侠花伝(1973年製作の映画)
4.3
瞬殺と長回し。デリケートと凶暴。
真木洋子と渡哲也の宿命は汽車の中の眼と眼の一瞬の出逢いで決まる。すべてがぎしぎし音をたてるような画とカット繋がり。嚙りかけのトマトとスモモの揺れる交換の詩情。ラブシーン以上の拷問シーン。汗と涙と血と雨の最高作。

しかし、70年代初頭大作映画をバンバン撮っていた加藤泰にはオシャレのオの字もない。時代はすでにアメリカン・ニューシネマの時代を過ぎているなか、『人生劇場』『花と龍』『宮本武蔵』『日本俠花伝』といったアナクロ臭漂う題名の映画を若者は好んで観に行ったのだろうかという疑問はいまだにある。
田旗浩一

田旗浩一