4onthefloor

地獄の黙示録・特別完全版の4onthefloorのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)
4.3
1960年代末、ベトナム戦争後期。
軍から離反した大佐の暗殺任務という密命を受けた陸軍大尉を描く。

作品の前半、後半で毛色が大きく異なる。
前半は戦争映画らしく、戦場の狂気を描きつつもユーモアを交えながら、まだまだ余裕を見せる描写も多い。だが任務遂行の為、河川哨戒艇で上流に向け進むに連れ、戦況も徐々に変わり、戦場の狂気も極まってゆく。

後半では内的世界、精神世界的な問答、哲学的な視点の描写やシーンも多く前半とは違った意味でのカオスが描かれる。
特にこのあたりでは倫理観や死生観なども踏まえた描写が多いので、ただ映画を観たいくらいのノリで見てしまうと200分超の作品の後半としてはかなりしんどいかとも思う。

だが、この後半こそが他の戦争作品とは大きく異なる部分であり、戦争の是非だけを問う映画では無く、人間自体に迫っていくものになっている。

奇怪で狂気を増長させる映像や演出も観ているうちに、気付かぬうちに受け入れてしまい、流れるように増していくカオス感はこの作品の傑作と呼ばれる所以だと思う。

ただ、前半の有名なワルキューレのシーンでは、こち亀の爆竜大佐がよぎってしまう。
4onthefloor

4onthefloor