Omizu

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのOmizuのレビュー・感想・評価

3.9
【第65回アカデミー賞 主演男優賞受賞】
『ビバリーヒルズ・コップ』マーティン・ブラスト監督がイタリアの小説を再映画化した作品。カンヌ映画祭男優賞を受賞した『女の香り』(1974)も同じ原作を持つ。アカデミー賞では作品賞他全4部門でノミネートされ、アル・パチーノが7度目のノミネートにして初受賞を果たした。

素晴らしい。アル・パチーノの演技はもとより、終盤に向かってサスペンスを盛り上げ、一気にカタルシスが解放される。これぞ映画だよね。

退役軍人としてのプライドの高さもありながら、実は盲人としての自分に限界を感じている、そんな男を見事に演じている。巻き込まれて彼をサポートすることになる名門校の青年、しかし彼も周りが金持ちの中で田舎出身の自分に劣等感を持っている。

正反対なようで実は似ている二人の珍道中。しかし中佐のある目的を知るとサスペンスになっていく。チャーリーが学校で巻き込まれた騒動も含め絆を深めた二人は誇り高く生きることを改めて発見する。非常に気持ちのいいヒューマンドラマだ。

女性の香水や使っているシャンプーの銘柄まで当ててしまう中佐、そのコメディアンとしての演技もいい塩梅。滑稽さと哀しさ、そしていざというときに出る優しさと情熱を盲人としての中佐の中に見事に表現していた。アル・パチーノはやはり素晴らしい役者だ。

気の弱いチャーリーの友人を演じたのが『カポーティ』フィリップ・シーモア・ホフマンだとは。確かに面影はあるかも。

最初は「なんだこいつ」と中佐に不快感を覚えるのだが、自然に二人の仲が深まるにつれて愛おしくなってくる。人間の誇りを描いた作品としてとても良かった。良作!
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