shibamike

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

げー、男子校の話かよー…
うわー、不良が何か企んでいる…
主役の高校生ナヨッとして頼りないなぁ…
上映開始直後は自分の苦手な要素だらけで、尻がムズムズ。

アル・パチーノが登場して、これまたギャーギャーうるさいお下品な親父。おいおい、この映画大丈夫かよ…とますます尻がムズムズ、ズムズム。

ところが、二人がニューヨークで豪遊を始め出すとテンポの良さとアル・パチーノのドぎついギャグにクスリと笑う自分。主役の高校生同様に自分もアル・パチーノのことが好ましくなっていた。そして、主役の高校生がナヨッとしていて苦手なのは正に自分がナヨッとしているから。嫌いな自分を観ている気がして、嫌なのだった。同族嫌悪!(勿論、顔面偏差値はボロ負けだよ😉👍)

しかし、主役の高校生はアル・パチーノの銃器に真っ正面から立ち向かう。フェラーリでぶっ飛ばす。全校生徒の前で告げ口をしなかった。全然ナヨッとなんかしていなかった。立派だった。

アル・パチーノに自殺させてやれよ、と自分は思った。全盲で親族からも疎まれて孤独なオッサンの気持ちが高校生にわかってたまるか、と思った(自分にも分からないけど)。でも、ラストにアル・パチーノが子ども達と楽しそうに話しているのを観て、自分は間違っていたかも、と思った。

本当にビックリしたのは全校集会でのアル・パチーノの演説。主役の高校生が一人で機転を効かすのだろう、と思っていたのでアル・パチーノが登場したのには面食らった。そして、演説の内容にもビックリした。自分は魂が腐っていると思った。会社って、人付き合いって、世の中ってそういう感じじゃん、と。アル・パチーノの演説は驚いたし、ショックだった。
「友だちを守ったじゃないか!」
涙が出た。

自分が言うまでもないことだけど、アル・パチーノは演技が凄まじい。ああ、この人は盲目の役をやってるな、と思わせない。この人は盲目なんだと思わせる。そして、本当に怖いあの目。アル・パチーノが鉄砲持ってると何するか本当に想像がつかない。マジで高校生殺すんじゃねえかと思ったもの。

しくじって、つまづいて、転んで、最後までタンゴを踊り続ける。
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