とにかく盲目の退役軍人を演じるアルパチーノの演技が凄すぎる!
座頭市のように目を開けているのか瞑っているのかわからないような演技ではなく(これはこれでその良さがあるとは思うが)、目をぱっちりと開けたまま、全く瞳を動かさない演技にはただただ脱帽するのみ。
特に名場面として高く評価されているタンゴを踊るシーンのアルパチーノには、私も感動のあまり、思わず鳥肌が立ってしまった。
調べてみると、この盲目の演技をするために瞬きをせず、失明になりかけたとの逸話が残っているとのことだが、名優とは言え「そこまでやるか!」と唸らせる役者魂には頭が下がる思い。
これこそプロフェッショナルと呼ぶに値すると同時に、アカデミー賞主演男優賞の受賞は当然なのだろう。
ストーリーとしては、退役軍人と高校生の交流と言う一風変わったセッティング自体に興味を掻き立てられてスタートするが、個人的には中盤でほんの少し無理な感じを受けるところもあり。
ただ、ラストシーンでのチャーリーを弁護するために「人間のあるべき姿」を説いたアルパチーノの大演説の内容の素晴らしさで、その無理感も完全にかき消されてしまった。
なるほど、名作と呼ばれ、且つこのフィルマークスでも高い評価を受けているのも頷ける秀逸な作品だと思う。