土屋ノリオ

竜二の土屋ノリオのレビュー・感想・評価

竜二(1983年製作の映画)
4.6
80年代の任侠ヤクザ映画が低迷する時代、そんな中でリアルな人が死ぬことない、新しいヤクザ映画として公開された本作は、自分の中では間違いなく通常の映画の中でも傑作と言える作品。あの長渕剛がテレビドラマで演じた「とんぼ」はまさに主演の金子正次のコピー。脇を固めるキャストの永島暎子・佐藤金造・北公次も素晴らしく、主題歌を歌う萩原健一の「ララバイ」も印象に残る。金子正次は当時32歳で胃癌を発症している中、自主制作として本作を作り上げ、封切りされたことを確認した日に入院、そして7日後の

「11月6日」

に帰らぬ人となる。最後まで寄り添った若手時代からの親友である松田優作に看取られるのだが、7年後の

「11月6日」

に松田優作もやはり癌で亡くなることになる運命。

ヤクザ映画史に残るラストシーンが秀逸で

鑑賞するたびに、金子正次に心を揺さぶられてしまう本作は、未見の方はぜひ一度ご覧になってもらいたい。
土屋ノリオ

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