鉄生

竜二の鉄生のネタバレレビュー・内容・結末

竜二(1983年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

定期的に観ちゃう映画の一つ

妻と娘のために堅気になったヤクザ(金子正治)
だが、結局は元のヤクザの世界に戻ってしまう

ラストが秀逸

終盤の夕方の商店街で仕事帰りにはまだ早い時間に竜二を見かけた妻が、喜んで声をかけようとするその顔が一瞬で引っ込んでしまう
大売り出しに恥ずかしげもなく並ぶ自分をみる冷たい視線に気付いて全てを悟ってしまう
次の瞬間、一瞬目に涙が光ったかと思うと、彼女は全て仕方ない、それが竜二さんなんだとスッパリ諦めた顔になる
そして幼い娘に話かけようとしゃがんだ時にはもう清々しい笑顔が浮かんでいるのだ

このシーンのなんたる切なさ!
なんたる哀しさ!
普通の幸せでは満足できない者もいるのだと、改めて思い知らされる

この映画はなんといっても故金子正治氏につきる
そして妻役の永島瑛子氏の素晴らしい演技
ヤクザ映画にありがちな暴力シーンはほぼほぼない

金子氏は今作公開中に33歳の若さで逝去
最期を看取った故松田優作氏も6年後、金子氏の命日に逝去した

もっともっとこの2人の演技を見たかったなあ…
鉄生

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