♪ 誰かが僕を愛してくれるなら、
その全ての人を道連れにしたいと
思ってるんだ。
ロックンロールの限り無き、
うねりの中へ。
絡みあった人間関係。
テンポの良い犯罪劇。
着地点が見えないジェットコースター。
さすがはガイ・リッチー監督。
正直なところ、既視感に襲われる展開ですが…役者さんの使い方も含めて、飽きずに観賞できるのは見事な限り。
これをミュージシャンの作品に喩えるならば。
シングル曲満載の大ヒットアルバム…の次に出した地味なアルバム。派手な展開は皆無なんですが、聴けば聴くほどジワリと沁み込んでくるんです。
だから1曲目から最高。
ベースがうねる出だしから始まって、ズンズンとリフを繰り返しながら“ロックンロール”を語っちゃいます。そして、2曲目、3曲目…と見栄えは似ていても魂に響く楽曲が続くのです。
特に本作のキモはトム・ハーディ。
物語的にも感情的にも美味しいポイントを独り占めです。
あと、むさ苦しい犯罪社会に咲く華。
それを担うのはタンディ・ニュートン。ぶっちゃけた話、ちょっと痩せすぎかな…と思うんですが、物語中盤のダンスシーンは最高でした。たぶん、超有名な“犯罪映画”に敬意を示したんでしょうね。そういえば、彼女の髪型も似ているような…。
まあ、そんなわけで。
突き抜けたところはないものの、監督さんの筆致が大好きなら観賞すべき作品。惜しむべくは絶妙なバランスゆえに「どこに足を乗せれば良いのか」と悩んじゃうことでしょうか。その辺りはガイドが欲しかったですね。贅沢な悩みですが。
最後に余談として。
「ロック」はともかく「ロックンロール」と口にすると“ダサく”感じるのは何故でしょうか。これはロックンロールが当初持っていた“反抗的”な部分が失われた…ロックが大衆に浸透したからだと思うんです。
要は「ロックは死んだ」ってことですね。
でも、死んだならば引き継げば良い話。形に拘るんじゃなくて魂が大切なんです。よーし、僕も反抗しよう。遍く全てに反抗しよう。決して“天邪鬼”じゃありません。むきき。